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トイカメラ

June 16th, 2010

“トイカメラ”というジャンルを日本に築き上げた、大森 秀樹氏 率いるクリエイティブ・チーム、株式会社パワーショベル。

「事務所作ったり、越したりする時、僕が一番初めに考えることは、スピーカは何を入れようということです」と話すのは、同社代表取締役の大森氏です。

Electro-Voiceシネマ・シリーズなど、ホール設備並みのラインナップが渋谷のオフィスに導入されました。

我々のシネマ・システムは正に映画館で使用しているものでして、これまで、ご自宅や小売店舗への設置例はあるのですが、オフィスに導入された例は初めてです。

―チョイスされた経緯を教えていただけますか?

「元々は10年くらい前に楽器店でEliminatorを買って、オフィスに置いていたことがあるんです。

屋号を立ち上げて、自社オフィスを持つときに一緒にスピーカも買おうと思ったんです。その前は、インド人に貰った変なスピーカを使ってたんです。それが破壊したので、今度は破壊しにくいのにしようということで、店頭でたまたま選んだのがEliminatorでした。

それがものすごく重宝したんですよ!全国の色んな場所に持っていったし、本当にあらゆる場面で使いましたね。小さなキャパから、ある程度のキャパまで使えたし、屋内でも屋外でも、DJイベントにも展覧会にも使えたので、どこにでも持っていきました。そして、未だに壊れない。それに、あれで聞くと良い音に聞こえるっていうのがいっぱいあるんです。それで、今回も“この”メーカーのが良いなと思ったんです。他のスピーカも置いてあるんですが、ガキガキしたドイツの音楽みたいな時はいいんですけど…気持ち良くないんですよね。大きな音像で流すときは、気持ち良いのが欲しいねと言ってたんです。

丁度そのタイミングで、ジャズ・レゲエの巨匠が来日するっていうので、うちの店でDJやって貰えるか聞いてみたら即答でOKだったんです。それには僕らも驚いて、『そんな巨匠に演って貰うのに、Eliminatorだけじゃあダメなんじゃないの?』となって、急遽、QRxを購入したんです。仲間曰く、彼の音は渋谷中に鳴り響いたみたいですが、STOPは入らなかったですね」

―カタログでシネマ・スピーカをご紹介した瞬間、即決いただいて非常に驚きました(笑)。

「僕はとにかく何でも業務用というのが大好きなんですよ(笑)。スピーカもカメラもそうなんですが、見た目が一番大事っていうか、見た目で気に入ったものでないと絶対良いようは聞こえないじゃないですか。シネマ・シリーズはカタログを見て、『これこれ!こういうデカいホーンのむき出しとか堪らない。この感じいいね』って決めたんですけど、スピーカに言及すると、むやみにデカいのとか堪らないですね!仕事の為に作ってるっていうのが好きなのかも知れませんね。僕は昔からずっと、発電所にあるようなボタンとかメーターがデザイン的に好きなんですよね。リビングに置いてあるのをイメージするものより、放送局に置いてますって感じ。

以前、ものすごくデカいA5とA7を全部で4本手に入れてるんです。その中の1本がすごく良くて、今でも気に入って事務所に置いてます。今風の音を流すと全然だめですけど、例えば、ブルースハープの音が耳を劈くように鳴るんだけど心地よさは失わないんです。ボーカルなんて、ボーカリストのでかい顔が目の前にあるんじゃないか!?くらいのリアルさで聞こえるんですね。店頭であんまり好きじゃないアーティストの音を聞いてたんですが、物っ凄く良かったんですよ。スピーカによって音があまりにも違うことに衝撃を受けましたね。久々に面白いなと感じました。

それで、その50年代くらいの流れが気になり始めて、色々試聴してみました。昔は絶対買えない値段ですから高値の花だったんですが、あるメーカーのものがずっと欲しくて欲しくて。その時の感覚で、最近のそのメーカーのも聞いたんですが、がっかりしたんです。もうその当時の音ではなかったですね。

シリーズでキャラクターが色々違うけれども、Electro-Voiceのスピーカはなんでもイケると思うんですよね。Electro-Voiceのデカいスピーカで聞く、デカい音っていうのは…やっぱ良いですよね。コンサート前の客入れ音楽がすごく良い感じで流れてるときがある、あの感じがちょうどElectro-Voiceのスピーカのように感じるんです。すっかりそういう系が好きになりました」

「僕は写真には強い思い入れを持っているんですけど、カメラに関しては、人が欲しいと思ってるものを作ってるつもりなんです。サービス精神に徹してやっています。このポジションもまた面白いですね。

僕は音楽が大好きなんですが、オーディオファンということはありません。音楽がある場というのが好きで、必要です。それは様々なシチュエーションで無くてはならないです」

―昨年12月のイベントで感じたのですが、写真に求めるものと音に求めるものが似てらっしゃいませんか?

「基本は一緒ですね。定義を決めないことがテーマでした。『どんなものでも良し』。

例えば、誰かが撮ったすごく良い1枚の写真があるとします。それを見たある人は、すごく懐かしい感じのする写真なんです。でも、また違う人が見たら、その1枚はすごく悲しい写真だったりする訳です。

写真ってシャッターを押せばそれですべて終わるんで、誰でも必ず写真は撮れます。誰が撮ったどんな写真でも、自分が撮ったかも知れない。という可能性がものすごくあるんですよね。誰かがこの部屋の電話機をカシャッと撮っても、「この写真って別に俺が撮った可能性もないことじゃない。たまたまその場に俺が居なくてシャッターを押してないだけで、これは俺が撮ったかもしれないんじゃない?」ということだらけなんですよ、写真って。そこが写真のすごく良い所ですよね。

音楽は、そういう関わり方が出来ないですが、それと同じように聞かせることが出来ると思ってます。例えば、映像と音があると両方の意味が作用するんで、組み合わせで違う音に聞こえたり、違う映像に見えたりしますよね。

僕らがよくやってるのは、映像と音を出して、終わった後に「人の人生一周したな」っていうものを目指しています(笑)。色んな映像と色んな音が出てきて、(これは俺が、見たかもしれないな。聞いたかもしれないな。体験したかもしれないな)という感覚。写真の繋がりや音楽に脈絡を持たせない。

例えば、赤ちゃんの次に、エロティックな写真を持って来ると、見る人は気に掛かるところが違うじゃないですか。違うからこそ、次に掛かる音の感じ方も違うし、次に出る映像の感じ方も違うから、最終的にものすごい違うことになるんです。体験し終わった後は、とにかく世の中色々複雑で、それを縦に切って見ることが出来る、感じることが出来る。これは音と写真の組み合わせでやると無限に出来るんです。

写真って面白くって、パラパラと見たものが案外頭に残っています。0.001秒とかの世界ですが、一度見た写真を次に見たとき、(あ、これ前に見たな)と思い出すんですよ。その感覚が面白いですよね。

音はまた違う部分で記憶に残るから、それと写真の記憶が混ざると、非常に面白いんです。音楽っていうものは、もう誰かが作って完成しちゃってるから、そのものに手出しをすることは出来ないんですけど、音を出すタイミングや組み合わせに関してはいくらでも変えることが出来るんで、そこが面白い」

「昨年12月に早速、808系のテクノの人が演るイベントで使ったんですが、結構良かったですよ。金物の音とかスネアの音とか、すごく良かったですね。来場者はクラブによく出入してるような人達が来られたんですけど、皆に音が良いねって言っていただきました。

また、私の姉が現代音楽のマネージメントをしてて、所謂、お上品な音は聞きなれてるんですね。彼女は普段、クラブ系の音だと30分で耳が痛くてダメになるって言ってるんですが、この日は全然平気だったと言ってましたね」

楽器・音響機器の卸販売からPAシステム設計まで、幅広い業務を30年以上展開されている、株式会社楽器音響の日下部 紀臣氏が今回のシステムを担当されました。日下部氏にも今回はご同席頂き、お話しを伺いました。

―6Fミーティングルームのキャラクターはどんなイメージで作られたのですか?

「近々のイベントがクラブ系だと伺ってはいたのですが、大森社長のCDラインナップに生楽器モノがたくさんあることに気付きました。そこで、特定のジャンルに向いた作りを避け、音が部屋全体を包む。BGMが鳴ってるイメージではなく、空間で音が鳴ってるという感じに出来れば、という思いでシステムを考えました。」

―施工でご苦労された点は?

「最初はVariplexⅡは違う部屋に入れる予定だったんですよ。とりあえず近々にイベントがあるからと、仮で入れてたところから始まります。

MEETING ROOMもそうですが、窓が多く、コンクリ打ちっぱなしという条件で反射音をどうしようか悩んではいました。VariplexⅡは音が前に飛んでくる感じになるので、プロセッサを入れていただき、ディレイタイムの調整で空間調整をするプランを練りました。実際に鳴らしてみたら、かなり気持ちがいい感じに鳴ってくれたんで良かったです。

また、QRxも含めた4本を同時に鳴らすとのことで、キャラクターの違うスピーカ同士をどう対応させていただくか、正直迷っていました。しかし、急遽、QRx用にDX38を導入していただいて調整したら、かなり良い感じで4本鳴らせました。

結果、大森社長の第一案通りのシステムが組み上がり、かなりご満足いただけたのでよかったと思います」

―大森社長、仕上がりは如何でしょうか?

「良い感じだと思います。また是非お願いしたいですね。やっぱりプロに頼むのが楽だと実感しました(笑)。今まで何だったんだと思いますよね。」

―プロ・オーディオを入手されたところで、これを使って近く予定されてるイベントはございますか?

「僕らのカメラでビデオ機能にフューチャーした製品がありまして、それを使って、著名な映画監督とか有名アパレル・メーカーさんなど、世界中の人に撮っていただいてます。その上映会といいますか展覧会を、3月にNYで1日だけやりました。それを東京に持って来て、この場所でやります。

我々の3Fはこれまで、トークイベント、クラブイベント、写真スタジオに使用しました。あ、『THIS IS IT』視聴会とかも。よかったですよー(笑)。次は展覧会ですが、色々なイベントをやっているんです。地下から6Fまで、ビル全体に一つの音楽が良い音で共有されて、とても評判がいいですね」

(株)楽器音響の日下部氏も、こう補足します。

「大森社長からは当初、MEETING ROOMにEVIDはどうかとご提案いただきました。しかし、3FのVariplexⅡを入れた後でしたので、音のキャラクター的にZXシリーズの方がマッチするのではないかと私は考えました。

天井か壁に付けたいとのご希望でしたので、ZX1かZX3かですごく迷ったんですが、見た目と大きさでZX1にしました。サブウーファーも入れ、この部屋全体を音で包むようにスピーカを4本入れていただきました。

元々高品質なプロジェクタが設置されていましたので、ブルーレイのプレーヤーも導入し、デュアルチャンネルのステレオにするパターンと、4.1chのサラウンドもアンプで出来るようにしました。どんな状況でも対応していただけると思います」

―社長のお話しを伺ってますと、代表取締役の方というより、クリエーターの方に伺ってるような錯覚を覚えます。

「僕たちのグループは、クリエイティブ系の仕事と非クリエイティブ系の仕事という垣根を、いかに失くすことが出来るか。ということをやりたいんですよね。その垣根がぐちゃぐちゃにならないと最終的に面白くないと思うんですよね。

そういったことをしたいので、その一貫として会社にスピーカが必要なんです。要らないんじゃないの?っていうくらい、意味不明なデカいスピーカが会社にあるっていうことがすごい重要なんですよ(笑)。

やりたい事がなかったから作った会社なので、面白くありたいですね。会社というより、落語の立川流みたいな感じになればいいんじゃないかと思ってます(笑)」